中国にて 2
ひげを生やした浅黒い男が調査官の前で震えていました。
彼は許可証の偽造の疑いで逮捕されたのです。
名前も住所も印鑑も全部改ざんしています。
「これは悪質だ」
そう言って、調査官は男の持っていたニセの許可書を私たちに見せました。
「僕がやったんじゃありません。本当です。」
男は必死になって弁解し続けました。
取り調べは1時間近くにも及んでいました。
男はついに、それが隣村の人から8元で買ったニセモノであることを認めました。
調査官の話では、不正に入越しようとして摘発される者は、1日100人を超えるといいます。
多いときで、検問所の前には大勢の人がたむろしています。
高収入にひかれ仕事を求めに来た者、華やかな都会をひと目見ようとやって来た者、買い物が目当ての者・・・
みんな諦め切れず何とか街に潜り込もうとスキを狙っているのです。
検問の壁の前に立ちはだかるず民衆と検問官・・・それは私にあの壊されたはずのベルリンの壁を思い出させました。
・・・朝7時、突然の電話のベルに起こされました。
通訳の王さんからでした。
「やられたよ。財布を盗まれた」。
王さんはひどく興奮している様子です。
朝食をとりながら王さんの話を詳しく聞くことにしました。
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